天然資源の乏しい日本は、その知識力によってこれまで社会の発展を支えてきました。高等教育は、個人の生活、産業の発展、そして国力に直結するものであり、教育研究にかかわる大学は公共的な役割を担っています。高等教育が国力に直結するという観点から、各国では、長期的視野に立った高等教育への投資の拡大が積極的に行われている中、日本のみがこれを減少させています。日本の高等教育に係る公財政支出の対GDP比割合は、OECD加盟国中最下位でかつその平均の半分にも達しておらず、日本の基盤は揺らぎつつあります。21世紀の「知識基盤社会」において、今後とも、日本が持続的に発展していくためには、高等教育への一層の投資と高等教育の将来に対する政府の明確な戦略ビジョンが必要です。国立大学協会は、公・私立大学団体とも連携しながら、大学関係の予算は「未来に対する投資」という性格をもつことを意識し、政府と大学界との対話を、強く求めていきたいと考えております。
このような国際的競争の環境の中で、日本の国立大学は、世界レベルの競争に参画する「ナショナルセンター」としての役割と、地域や社会の発展に貢献する「リージョナルセンター」としての役割とを担っています。国立大学はこれまで、卓越した研究とそれを反映した教育によって優れた人材を世界に輩出する一方、比較的低廉な学費と地域的に偏りなく設置されていることにより、高等教育の機会均等の保障と地域における高度な人材育成の拠点として重要な役割を担ってきました。その中で、特に法人化以降、各国立大学は、その理念・特色を意識しながら経営戦略の確立や教育研究の活性化、学生支援の充実、産学連携や地域貢献の促進など様々な改革に必死に取り組んでおります。しかしながら、各大学の優れた取組が国民の皆様に充分に理解されていないといった指摘も受けており、国立大学協会としても引き続き各大学の取組を「可視化」することに努め、政府や社会の皆様に、国立大学に対する理解を深めていただき、国立大学のより一層の発展を図っていきたいと考えております。
2010年度は国立大学にとって、第2期の中期目標・計画の1年目として、新たな段階への一歩を踏み出す年であります。我々は不断の努力で改革を進めながら、知の拠点として「未来に向けた確かな指針」を示すために活動していく所存です。国立大学を巡る状況が厳しさを増す中、これまで以上に全国の国立大学へのご支援ならびに本協会への温かいご指導をお願い申し上げて、ごあいさつといたします。